漏れによるコストは、業界で年間数百万ドルにもなります。例えば、100 psigでエアーを使用する施設でのわずかな漏れが、約6セント/キロワット時(kWh)の電力消費コストと仮定すると、年間コストは22,000ドルを費やすことに繋がります。 また、漏れが発生している100ドルのスチーム・トラップの交換が遅れると、1週間で50ドルのコストを浪費します。平均的な稼動施設全体では通常数百台のスチーム・トラップが使用されており、漏れによるコストは年間では数十万ドルになります。さらに、漏れはコストだけでなく、システム停止につながり、製品の品質への影響や環境汚染や人身事故が発生する恐れがあります。
漏れの原因
システムの振動、脈動、熱サイクルは、すべての化学プロセス・システムにおける漏れの一般的な原因です。パイプやチューブの品質に関わらず、機械的振動が存在するときは、どのような継手の接続タイプでも、漏れる場合があると仮定します。この「振動疲労」は回避できない要因であり、継手の構造部品の冶金面での一貫性の問題、側面荷重から接続部に加わる過度の応力、その他にもシステムの設計上の特性、あるいは単に不適切な取り付けが原因で、さらに進行する場合があります。
応力増大および応力疲労は、広く研究されてきました。ある研究結果から、マルクル疲労関係が示されました。 この「応力曲線」(図1)の垂直軸「S」は、調査対象の試験品(継手接続)に加わる振動によって生じる交互応力の振幅に等しくなります。水平軸の「N」は、故障までのサイクル数を示します。このS/N曲線は、生成サイクル数と、応力を繰り返し加えて試験品が故障するまでの時間を示します。
結果は、試験品への交互応力の振幅が大きくなるほど故障が早いことを示しています。、故障は、継手を締め付ける際にパイプまたはチューブ・ラインにできる溝や切り込みの深さに関係があり、継手への応力増大要因は、故障が発生する原因となります。
漏れの防止
製品技術のみならず、コンポーネントの適切な選択や全体的なシステム設計が、効果的かつ効率的な流体システムを構築する際の重要な要因ですが、見落とされがちです。漏れの原因として最も重要な点は、以下の2つです。
- システム全体を通してプロセス配管の接合に使用する接続部品のタイプ
- 当該アプリケーションにおける施工およびメンテナンス担当者の知識と経験の度合
あらゆるシステム・パラメーター要件で全く漏れのないオペレーションを実現する理想的な接続は現実には存在しませんが、システムでの漏れの防止について、継手接続タイプ別に評価することは価値があります。 さらに、適切かつ効果的なエネルギー管理システムは、選択した接続タイプに関係なく優先されるべき事項です。そのようなエネルギー管理プログラムを採用することは、効果的な流体システムを維持するために重要であり、これについては後述します。
パイプ溶接継手の考慮点
振動と疲労の両方に最も耐性のある継手接続は、パイプ突き合わせ溶接継手です。振動と疲労に対するその耐性能力は、接続の強度と一体性によって決まります。しかし、パイプ突き合わせ溶接による継手接続にはいくつかデメリットがあります。接続に必要な装置と専門的なトレーニングが高額となる場合があります。さらに、システムへの取り付け時間は、パイプ突き合わせ溶接継手は、他の継手の場合よりも長くなります。取り付け作業者の熟練度も、考慮する必要があります。綿密なトレーニングは、高品質の溶接接続を徹底するのためには不可欠です。最後に、流体システム配管をメンテナンスするための簡便性が極めて悪く、メンテナンス担当者が、トーチまたは弓のこを使用してシステム・ライン内における配管を切断しない限り、流体システム配管のメンテナンス性は極めて悪くなります。
ねじ付きパイプ継手で考慮すべき点
プロセス流体システムで使用されている最も一般的な接続タイプは、ねじ付きパイプ継手接続などです。
NPT継手
結合パイプの誕生以来、産業界で主力製品として使用されているNPT(米国管用ねじ)継手は、おすエンドとめすエンドの両方がテーパーねじとなっています。 シールは、実際には結合金属表面間の「クラッシュ・シール」であり、テーパーねじの側面、頂点および基部で発生します(図2)。金属自体に備わった親和性によって、特に炭素鋼またはステンレス鋼を付き突き合わせるときに、金属のかじりおよび落下が取り付け作業の際に発生します。NPTねじエンドを接続する時は、おねじに潤滑剤、または潤滑剤入りシール剤を塗布して損傷を防止することが不可欠です。一般的なねじシール剤は、PTFEテープです。
以下は、テープを使用してねじの頂点、基部および側面の空洞に潤滑剤を塗布するまたは埋めるときに考慮すべき重要事項です。
- テープをねじ山に付ける場合、通常のテープであれば、おねじに2~3周巻けば十分です。
- テープは、やがてはバラバラになって流体システムの中に入り、システム・コンポーネントの内部を損傷させることがあるので、最初のねじ山には決してテープを巻かないでください。
- テープを、継手のエンドからねじ山を見た場合の時計回りに巻きます。正しい方向に巻かないとテープが潤滑剤の役目をせず、漏れが生じる可能性があります。
- 余ったテープを切り離し、テープの遊離端をねじ山の周りにピンと引いてねじ山に合わせます。次に、親指と人指し指でテープをオーバーレイ点でしっかり押します。ねじ山の頂点がテープを貫通して突出する場合は、かじりが発生している可能性があるため、追加のテープが必要になります。
- ねじをメンテナンスのために分解する場合は、ねじ部を再取り付けする前に、必ず余分なテープを全て除去し、新しいテープを巻きます。除去されていない初回取り付け時のテープは、再取り付け以降はリーク・ポイントとして作用する場合があります。
SAE平行ねじ継手
最近普及しつつある、もう1つのねじタイプは、SAE(Society of Automotive Engineers)平行ねじです。SAE平行ねじは、継手を所定の位置に保持するためにのみ設計されているメカニカル・タイプであり、SAEねじにはシール性がありません。シール性は、おねじの基部にあるエラストマー有します。(図3)。エラストマーは、めすポートへの入口近くの突起または平らな表面に向かって縮みます。このタイプのねじシールは、NPT接続の利点を備え、取り付け担当者にとっては、継手のメンテナンス、アクセスおよび再取り付けが非常に容易です。
流体システムに使用されるその他のタイプのねじは、ISO管用平行ねじとテーパーねじ、NPTFドライシールねじ、および37º ANフレアー継手です。
ISO管用平行ねじ/テーパーねじ継手
ISO(国際標準化機構)管用平行ねじ継手は、ねじによってシール特性を発揮するNPTテーパーねじ継手、およびバックアップ・シールとしてエラストマー、結合金属ワッシャーまたはガスケットを使用するSAE平行ねじと働きが似ています。
NPTF米国管用テーパー・ドライシール継手
ドライシールねじは基部が頂点より細くなっているため、締まりばめによって基部が対向するねじの頂点を押しつぶします。 このねじ概念の背後にある原理は、ねじの頂点、基部および側面がかみ合うと、いつも対になる接触があり、潤滑なしにシールができることです。残念なことに、炭素鋼やステンレス鋼など一部の金属の固有特性によって、潤滑なしのこのタイプのシールではかじりが発生するため、最初の取り付けが難しくなり、再取り付けは不可能になります。
37º ANフレアー継手
これらの継手は、SAEおよびISO平行ねじ設計と類似の平行機械式ねじを使用します。これらの平行ねじは保持のためにのみ使用され、一方、継手エンドに加工された37ºおすフレアー・エンドは、めねじポートの基部にあるめすフレアー面とかみ合います。このタイプの接続は油圧用途に多く見られ、一般的にはAN [Army-Navy] 継手と呼ばれます。
ねじ接続のデメリット
どのタイプのねじ接続も流体システム向けに業界で一般的に選択される継手ですが、プロセス・ラインと計装ラインにおいてパイプを使用するには、固有のデメリットがあります。配管の内部表面からの摩擦による圧力低下や損失水頭によって、用途に必要な流れ特性が達成できない可能性があります。この圧力低下の影響は、内部形状と組み合わせたレイノルズ数を適用して示すことができます。
(図4)に示すレイノルズ数(Re)は、チューブまたはパイプの内径に平均流体速度 [V] と流体密度 [p] を掛け、動粘度 [µ] で割ったものに等しくなります。内部摩擦係数は、まずパイプ内の流体のレイノルズ数を決定することによって計算します。次に、パイプ表面の相対的粗さをレイノルズ数と組み合わせることによって、摩擦係数が決まります。この式を用いて実施した試験は、チューブに対するパイプの内部表面粗さによって、一般的にパイプ内の流れの乱れの方が大きく、より大きい圧力低下が必要なことを示します。さらに、パイプで方向を変えるには、45ºまたは90ºのエルボー管を使用しなければなりません。エルボー管によって、内径が急に変化する上に縁部が粗くなり、乱流と圧力低下も増します。方向エルボー管をチューブ・システムに使用することはできますが、チューブを曲げることができれば、方向転換がより円滑となり、発生する圧力低下や乱流の量が減少します。
チューブ継手の考慮点
チューブでも、接続を行うためのさまざまな継手が選択できます。
圧縮継手
チューブ継手として初めて製造されたのは圧縮継手で、3つのコンポーネントで構成されています。すなわち、ナット、ボディおよびガスケット・リングまたはフェルールです。この設計は、チューブの摩擦グリップ(図5)を利用します。1つの利点は、ねじを作るためにねじチェイサーとダイを必要とするパイプ接続とは異なり、組み立てのために特殊な工具を必要としないことです。さらに、シールはライン・タイプにすることができ(ただし常に可能というわけではありませんが)、このタイプは、1つの小さい領域に大きな力を作り出す、使用可能な非常に効果的な金属同士のシールの1つです。しかし、このタイプの接続のデメリットは、摩擦グリップのみであるために最小限の圧力にしか耐えられず、利用可能な素材が少なく(大半は真ちゅう)、振動、熱サイクルおよびその他の動的な力が加わるシステムでは正常に機能しない場合が多いことです。
フレアー継手
次に登場したチューブ継手はフレアー継手です。 最初の圧縮継手と比較すると、フレアー継手はより高い圧力と広範なシステム・パラメーターに対応でき、さまざまな素材のものがあり、シール面積が広いため(図6)、保守用途での再取り付けが可能です。
継手は、3つのコンポーネントから構成されています。すなわち、ナット、スリーブおよびフレアーまたはコーン・エンドのボディです。一部の事例では、スリーブは薄肉または軟質チューブ素材の場合のオプションにて、自己フレアー加工で使用されます。この継手のデメリットは、組み立ての容易さにおいて、一段階劣ることです。取り付けるチューブを準備するために、特殊なフレアー加工用工具が必要です。さらに、フレアー加工を行った際にフレアーの根元部分にかかる応力が増加したり、またチューブが薄肉あるいは脆性な場合には軸方向に亀裂が入る恐れもあります。設計不良の回転チューブ・カッターや効かない弓のこでチューブを不均一に切断すると、シーリング表面が不均一になります。
食い込み式継手
食い込み式継手は、組み立てに特殊な工具を必要とせず、元の圧縮設計より高い圧力定格に対応します。この継手はナット、ボディ、フェルールで構成されており、フェルールの前端部は鋭く、チューブ表面層に食い込むことにより、しっかりとチューブを固定します。 2番目のシールは、フェルールと内部ボディ・テーパーとの間の表面に、長く深くできます(図7)。設計上、食い込み式継手は通常、フェルールは1個です。フェルールは、2つの機能を行うために先端部が必要です。2つの機能とは、チューブに食い込んで固定するとともに、カップリング・ボディとのシーリングを行うことであり、これは一方または両方とも機能しなくなる可能性が高い動作です。複数の機能(最初のフェルールがシール、2番目のフェルールがチューブの固定)を2つのフェルールに分けると、各エレメントに対して、要求されるタスクに対処できるよう特殊な設計を行うことができるため、この問題は解決できると考えられます。
メカニカル・グリップ式継手
メカニカル・グリップ式継手は、通常2個のフェルールを使用しています。この継手は、ライブ・ロード式シール特性も利用することができます。 継手の締め付けによる反発力がフロント・フェルールに加重をかけ、それと同時に、チューブとカップリング・ボディの表面の隙間を埋めることによりシールを行います。 バック・フェルールが放射状に絞り込んでゆく固定機能により、バック・フェルール前端部の固定起点から後方までの間で、チューブとの十分なグリップ長さが得られるため、振動に対する耐性が向上しています。また、食い込み式チューブ継手にはない、メカニカル・グリップ式チューブ継手のもう一つの長所は、継手コンポーネントやチューブに損傷を与えることなく、一旦取り付けを行った後の継手の取り外し、再取り付けが可能であることです。さらに、一部のメーカーは、初回取り付け時に継手が十分に締め付けられているかどうかを確認するためのゲージを提供しています。特にステンレス鋼など、硬質チューブ継手の締め付け不足は、チューブ継手での漏れの主要原因と考えられています。
エネルギー管理プログラム
システムにとって適切な継手を選択するだけでなく、プロセス・システム・エネルギー管理も、効果的な流体システムを維持するための重要な要因です。検討すべきエネルギー管理プログラムは多数ありますが、次の観点から、概説や推奨を以下に行います。
- プロセス・ラインおよび計装ライン
- プラント・ユーティリティー(圧縮空気、温水、蒸気、および冷水)
- 油圧システム
化学業界では、米国の製造セクターの中で2番目に多くエネルギーを使用します。エネルギー・コストは、出荷額の約9%に相当します。省エネルギーおよびコスト削減手段の機会を特定するために、経験のある会社内部によるエネルギー監査を考えて見ましょう。
定期保守は、エネルギー消費とコストを削減するのに重要な役割を担います。例えば、圧縮空気の漏れ、詰まったフィルター、およびコンプレッサーへの温かい空気の漏れなどが考えられます。蒸気システム監査者の記録によると、防止策や予測に基づく保守プログラムを実施していない一般的なプラントでは、その蒸気トラップの約28%が常に故障モードにあります。蒸気利用度を大幅に改善するには、蒸気トラップの適切な試験を実施し、漏れを特定し、漏れている箇所を修理し、必要であれば、正常に稼動していない蒸気トラップを交換します。
重要な定期保守の例として、もうひとつ、圧縮空気システムでの空気漏れチェックがあります。 代表的なシステムでは、1,000箇所ものチェック・ポイントがあり、約24~30%で漏れがあることがわかります。次に、この統計を会社のキロワット/時当たりのコストに当てはめて、損失を計算します。問題を是正するために保証契約を結びます。調査によると、特定のメーカーからの適切に取り付けられた継手は、漏れを3%未満に是正することが示されています。
監査では、過去1年間のエネルギー請求書の詳細な分析など、エネルギーの供給と消費を把握する必要があります。エネルギー供給で考慮すべき点は、現在の料金の一覧表および他の供給業者を使用した場合のコストです。エネルギー効率化のための機会は、この作業を継続するにつれて徐々に明らかになります。省エネルギーおよびコスト削減計算には、実施のための推定コストを含める必要があります。
代表例: チューブ継手(ゲージで締め付け度の確認が可能)
紙パルプ会社に向けて実施された、特定のエネルギー調査により、その空気圧システムの23%に漏れがあることが明らかになりました。ゲージによる締め付け度の確認が可能なチューブ継手を取り付けると、リーク・レートはゼロに落ちました。気体(液体ではなく)を通常使用しているプラントの特定のエリア内で、すべての継手で漏れをテストするのが一般的です。 漏れが特定された場合、ゲージによる締め付け度の確認が可能なチューブ継手を使用すると、装置の信頼性が向上し、省エネルギーが実現します。
これは、コンポーネントの適切な選択、総合的なシステム設計、およびエネルギー管理プログラムに注力することが、効果的かつ効率的な流体システムの開発に非常に有効であることの一例にすぎません。
エネルギー監査を実施の詳細につきましては、john.cox@swagelok.comまでお問い合わせください。 詳細およびリソースは、Alliance to Save Energy(省エネルギー連合)のウェブ・サイト(www.ase.org) をご覧ください。