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低排出認証付きバルブを使用して、フュージティブ・エミッション(排出物の漏れ)に伴うコストを最小限に抑える

低排出認証付きバルブを使用して、フュージティブ・エミッション(排出物の漏れ)に伴うコストを最小限に抑える

2020年4月28日 | Sean Hunsicker、マーケット・マネジャー

フュージティブ・エミッション(排出物の漏れ)が化学処理や石油精製の施設で注目されるようになったのは最近のことですが、実は重要なテーマなのです。フュージティブ・エミッションを放置しておくと、企業の収益性に悪影響を及ぼすことにもなりかねません。また、現行の排出規制を順守するためには、サプライ・チェーンの変更やプロジェクトの改修が必要になることがあります。米国環境保護庁(EPA)などの行政機関と民間企業がフュージティブ・エミッション抑制に関する合意に達している昨今、この分野の知識を身に付けておくのに越したことはありません。

今回は、フュージティブ・エミッションを知らなかった方、知っているものの関連コストを最小限に抑えるためのヒントが必要な方、いずれの方にも知っておいていただきたい基本事項を紹介します。

フュージティブ・エミッションとは?

フュージティブ・エミッションとは、主に好ましくない漏れが原因で制御されないままプロセス装置から排出されるガスのことです。中でもベンゼン、メタン、エタノールといった揮発性有機化合物(VOC)には注意が必要です。VOCは大気汚染を引き起こし、オゾン形成の一因となるおそれがあります。そのため行政機関は、フュージティブ・エミッションに制限を設けており、これに違反すると高額の罰金が科せられることもあります。

フュージティブ・エミッションは、バルブ、ポンプ、フランジの接続部のダイナミック(動的)・シールとスタティック(静的)・シールで発生することが多く、一般的な施設では、制御されていないVOC排出量のうち62%をバルブが占めていると推定されています。低排出認定付きバルブ を取り付け、試験を行ってフュージティブ・エミッションを最小限に抑えるというのが、業界全体で一般的に採用されているソリューションです。低排出認証付きバルブを購入することが、合意協定[プロセス用プラントと米国環境保護庁(EPA)との間の法的合意。民事訴訟の結果として結ばれることが多い]の要件になることもあります。

EPA合意協定

米国環境保護庁(EPA)は、現行の環境関連の要件、法律、規制(「水質浄化法」や「大気浄化法」など)を企業が順守するのを支援する役割を担っています。自主的な順守が望ましいものの、必要な場合にはEPAは法的措置を講じて順守を求めます。EPAによる執行措置にはいくつかありますが、化学プラントや石油精製施設の場合は、合意協定の形を取るケースが多くなっています。

一般的な合意協定には、環境コンプライアンスを実現するべく、施設の所有者が指定期間内に行うべき行動が具体的に記載されています。合意協定に従わない場合は、民事上の罰則(高額の罰金など)が科せられる可能性があります。そして罰金を重ねると合意協定を順守していないと見なされ、法的な問題がさらに発生するおそれもあります。フュージティブ・エミッションを削減する方法は数多くありますが、一部の合意協定では、漏れ検出と是正プログラム(LDAR)を強化し、低排出認証付きバルブのみを使用することをプラントに求めています。

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強化LDARプログラムと低排出認証付きバルブ

強化LDARプログラムは、EPAの定期的な漏れ検出と監視方法に倣っています。バルブの場合、EPAの監査では書類監査と排出物の実地試験の両方を実施します。強化LDARプログラムを実施しているプラントでは、主に次のような方法でフュージティブ・エミッションを低減することを目指しています:

  • EPA法21 を用いて接続部(バルブなど)の現地試験を行うことで、総合的な計画を策定する
  • 指定期間内での漏れの識別、文書化、是正を実施する
  • バルブ、接続部、ポンプの許容漏れ限度を下げる

追加の要件では、新規プロジェクトと同様に、将来の保守・修理・稼働(MRO)用に調達するバルブは、すべて低排出認証付きバルブでなければならないとしています。EPAの合意協定の多くは、何をもって低排出認証付きバルブとするかの判断をプラントに委ねています。通常、低排出認証付きバルブに分類する方法は、いくつか存在します。そして以下のいずれかを提供するバルブのメーカーを受け入れるかどうかを決定するのは、プラント側ということになります:

  • 5年にわたって、バルブの漏れ量が100 ppmを超えないことを示した保証書
  • 一般的に認められた良好なエンジニアリング慣行に基づいて試験を行い、バルブの漏れ量が100 ppmを超えないことを示した書面(保証書、証明書、または同等の文書)

この2つの違いはわかりにくいため、低排出認証付きバルブを検証する各形態の利点と欠点の概要を紹介します。

メーカーによる保証書

低排出認証付きバルブを購入する際、5年間にわたって漏れ量が100 ppmを超えないという保証書をメーカーに提供してもらうというのは、手っ取り早いソリューションのように思えます。しかし、実際にバルブの漏れが生じた時のことを考えてみましょう。バルブの漏れが生じた場合、どのような補償が受けられるのでしょうか?保証は、漏れが生じたバルブの交換に限定されていますか?バルブの交換に伴う費用は回収可能でしょうか?

合意協定のさまざまな側面を順守できないプラントには、罰金が科せられることが多いということを考慮する必要があります。違反した場合の罰金は、違反事項1件につき1日あたり1万ドルに達することもあります。バルブの漏れがEPAの罰金の誘因となった場合はどうなるのでしょうか?バルブ・メーカーを訴えてこのようなコストを回収することは可能なのでしょうか?

メーカーの保証頼みということは、メーカーが他意なく100 ppmを超える漏れのバルブを提供し続けている可能性が否定できないということになります。大半のプラントでは、バルブが要求された漏れ率を満たしているかどうかを判断する試験方法が存在する場合、メーカーの保証だけに頼るのは心もとないと考えられています。

低排出試験

EPAの合意協定では、バルブが「一般的に認められた良好なエンジニアリング慣行に従って試験を行った結果、100 ppmを超える漏れは見られなかった」という保証をバルブ・メーカーが提供することを認めています。つまり、「一般的に認められた良好なエンジニアリング慣行」とは何か、メーカーが誠意を持って試験を実施しているか、試験がプロセス条件を再現したものかどうかの判断は、プラントや環境関連のエンジニア任せなのです。メーカーが独自で開発して実施した試験は、プラントを危険にさらす可能性があり、たとえ専門家であっても、本当に低排出バルブに分類して良いか判断しかねるといったことにもなりかねません。

幸いなことに、米国石油協会(API)と国際標準化機構(ISO)が提供している業界試験で、「低排出バルブ」に分類可能かを判断することができます。

  • API 624: フュージティブ・エミッション用の上昇ステム・バルブ(グラファイト製パッキンを使用)のタイプ試験 は、試験媒体としてメタンを使用した上昇ステム・バルブの試験をカバーしています。バルブは310回の開閉サイクルと3回の熱サイクル(周囲温度-高温-周囲温度のサイクルでバルブを試験する場合)で、メタンの漏れが100 ppmを超えないことが求められます。
  • API 641: 1/4回転式バルブのフュージティブ・エミッション試験 では、試験媒体としてメタンを使用したボール・バルブの試験について詳しく説明しています。試験対象の各バルブは、610回の開閉サイクルと3回の熱サイクルで、メタンの漏れが100 ppmを超えないという条件をクリアする必要があります。
  • ISO 15848-1: 工業用バルブ-フュージティブ・エミッションの測定/試験/認定手順 は、さまざまなポイントでの漏れ試験を伴うバルブの機械的および熱サイクル試験の手順および要件を規定しています。試験媒体には、メタンまたはヘリウムを使用します。

API試験の合否はシンプルです。つまり低排出バルブとして認定可能か否かです。バルブを購入する際は、ISO試験ではバルブが試験中にどのように動作するかでさまざまな「クラス」評価を行っているということに注意してください。ISOのクラスで「低排出」とみなされたバルブであっても、EPAの「100 ppmを超えない」という漏れ要件を満たしていない可能性があるということです。例えば、気密クラスCMは、100 ppm以上500 ppm未満のメタンの漏れがあっても「低排出」バルブとしています。

さらにISOによると、「試験流体がヘリウム(クラスAH、BH、CH)の場合と、メタン(クラスAM、BM、CM)の場合は、気密クラスの間に相関関係はありません。これは,収集された試験データが流体間で異なるためです。メタンではなくヘリウムを用いてバルブの試験を行った場合、結果はステム径に比例した漏れ率として報告されます。この流量は、大気圧立方センチメートル/秒(atm-cm3/s)で表され、漏れ率としては百万分率(ppm)の測定値よりも正確に定義されているものの、atm-cm3/sをppmの観測値に変換する方法は存在しません。このため、ヘリウムを使用して試験を行う際に、「100 ppmを超えない」というEPAの文言に準拠しているかどうかを判断しかねるということになります。

これらの試験は、バルブ・メーカーではなく、第三者機関の研究所で実施するのが理想です。バルブ・メーカーが第三者機関に試験の実施を委託した場合、バルブが試験規格の要件を満たしていることを公平な機関が確認したということになります。バルブの認証は、第三者機関の研究所のシール、試験場所、結果をまとめた文書の形で、バルブ・メーカーから入手しておきましょう。

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排出量の要件を先取りする

Swagelok 60 series process ball valve新たにシステムを設計する場合でも、LDARプログラムを改善する場合でも、フュージティブ・エミッション対策として低排出認定バルブを選定することをお勧めします。環境保護規制を見越して、低排出認定を受けたバルブを積極的に指定することで、コストのかかる改修の問題を回避し、最新の環境ベスト・プラクティスに準拠した状態を維持することができます。また、VOC用としてどのバルブを注文するかに関して明確な指示と手順があれば、環境とオペレーションの両方について整合性が得られることになります。

既存のフュージティブ・エミッション問題に対処する、または将来の漏れを防止する業務を担当している方であれば、ぜひ石油精製施設での漏れを削減することの重要性について取り上げた コラム記事 も併せてご覧ください。お客さまのオペレーションに適した低排出ソリューションをお探しなら、 スウェージロックの評価/アドバイス・サービスを通じて、経験豊富な流体システムの専門スタッフに相談してみてはいかがでしょうか。

最後に、スウェージロックは、  低排出認定を取得したプロセス用バルブ、計装用バルブ、ボール・バルブ、ニードル・バルブ、上昇プラグ・バルブ、ブリード・バルブ を幅広く提供しています。これらのバルブは、設計変更を行うことなく適用されるAPI低排出ガス試験に合格しており、試験中に100 ppmを超えるメタン・ガスの漏れが生じたことはありません。これらのバルブ製品を流体システムに使用することを検討されている場合は、該当する低排出認証やその他のサポートに関して、 最寄りのスウェージロック指定販売会社 までお問い合わせください。

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